1.1世帯あたりの平均所得金額
厚生労働省は、先月「平成29年 国民生活基礎調査の概況」を発表しました。
いくつかの興味深いデータがありましたのでご紹介しますね。
では、まず平成28年の平均所得を見てみましょう。
全世帯の平均所得や約560万円でした。
一番高い平成6年の平均所得は約664万円で平成28年の560万円との差額は104万円。
月額にすると86,667円です。22年間で8万円強/月も収入が減っていることに
なります。
高齢者世帯はどうでしょう。
平成28年の高齢者世帯の平均所得金額は、約318万円でした。
平成10年の約335万円との差額は169,000円。月額にすると14,083円ダウンして
います。
この間に、給与が上がらない上に、年金の受給額の減額、消費税の増税、社会保険料
のアップが影響しているのでしょう。
これから消費税が10%アップする予定ですし、社会保険料のアップも考えられるので
50代にとっては厳しい生活が待っていると覚悟したほうがよさそうです。
2.所得金額
所得別世帯数では、平均所得は5,602,000円。中央値は4,420,000円でした。
つぎに、1世帯あたりの所得をみてみましょう。
1世帯あたりなので、世帯人数の合計の所得額と考えます。
年代別で50代は1世帯あたりの平均所得額は、
約777万円で月額648,000円。
一方で、65歳以上は約427万円で月額356,000円でした。
では、どのような種類の所得があるのでしょうか。
高齢者世帯は、3,18,6000円の所得の内訳をみてみましょう。
高齢者の所得の内訳を表にしてみました。
【高齢者の所得内訳】
所得の種類 | 年額 | 月額 |
稼働所得 | 709,000 | 59,083 |
公的年金 | 2,112,000 | 176,000 |
財産所得 | 168,000 | 14,000 |
社会保険給付金 | 25,000 | 2,083 |
仕送り等 | 172,000 | 14,333 |
合計 | 3,186,000 | 265,500 |
これをみると、公的年金収入は月額176,000円で、1か月のうち約6万円弱を
働いて収入を得ていることになります。
年金だけでは生活できないから、不足分6万円を稼いでいるということです。
つぎに、高齢者の所得のうちの年金の割合について
所得が年金収入だけの人が52.2%。半数以上の人が年金だけで
生活していることになります。
定年後も働けるのは、せいぜい70歳前後までと考えると
70代後半以降は、年金だけが生活の頼りとなって厳しい生活が
想像できます。
3.生活の意識調査
生活の意識とは、「生活が大変苦しい~大変ゆとりがある」の生活する上で
肌身をもって感じていることをデータ化したものです。
全体では55.8%の人が「生活が苦しい。またはやや苦しい」と答えています。
全世帯や児童のいる世帯も、半数をこえる人が
「生活が苦しい。またはやや苦しい」となっています。
マスコミでは「ボーナスの平均が前年よりアップした」とか「企業の業績が
上向き」など景気のよい情報があふれていますが、実態としては全世代で
「生活が苦しい。またはやや苦しい」状況であることがわかります。
高齢者では、54.2%が「生活が苦しい。またはやや苦しい」です。
人生の後半になっても半数以上の人が「生活が苦しい」と感じている
ということは私たち50代は、もっと苦しい生活が待っていることを自覚する
必要があるでしょうね。
4.貯蓄額の割合について
ここでは、高齢者世帯貯蓄の割合につてみてみましょう。
平成28年版の貯蓄は高齢者世帯では
15.1%もの人が貯蓄がないと答えています。
高齢者の貯蓄額の割合をグラフにしてみました。
貯蓄がある人の割合で1番が3000円以上で10.8%。
2番目が1000~1500万円で9.5%となりました。
以前から高齢者の貯蓄は2極化がいわれてきましたが、平成28年でもそのまま
推移しているといえるでしょう。
今回の生活調査から、高齢者の半数以上が「生活が苦しい。やや苦しい」と答え
1か月あたり6万円弱を働いて収入をえていることがわかりました。
50代の私たちが今するべきことは
貯蓄にはげむことと、高齢者になっても働いて収入を得る方法を考えておくこと
が必要なのでしょう。
最近では、人生100年時代に向けて、年金をもらう年齢を66歳からにする
「繰り下げ支給」をすすめるメディアもあります。
私たち50代は、高齢者になっても貯蓄をできるだけ減らさず、年金以外の
収入を得るなどのライフスタイルの設計をする必要があるということでしょう。