老後の住まいを災害リスクから守れ!「災害に強い住宅選び」は購入予定者にとって必読書だ。

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1.「災害に強い住宅選び」の著者長嶋修氏プロフィール

著者の長嶋修氏は、株式会社さくら事務所の会長を務める不動産コンサルタント。

中立的立場からこれまでマイホームの購入や不動産のノウハウを提供しています。メディアへの出演も多く、また「100年マンション」「不動産格差」などの著書も出版。

最近では動画サービスYouTubeで長嶋修の「不動産経済の展開を読む」を配信。これまでの知識や経験を余すことなく提供し続けています。

今回出版された「災害に強い住宅選び」は近年甚大な災害さらされている日本の風水害に焦点を絞り命と不動産を守るにはどうしたらいいのかなど新たな防災知識を得られる1冊となっています。

内容と私がこの本から学んだことなどを簡単にご紹介します。

2.第1章不動産の災害リスクは自己責任である

江東区が公表した浸水シミュレーションをご存じでしょうか?

特に江東5区(墨田区・江東区・足立区・葛飾区・江戸川区)は大規模水害によって浸水する可能性がある区域とされています。

それと、自治体としては衝撃的な内容と話題になった江戸川区の「水害ハザードマップ」です。

ここ数年で自治体は、ハザードマップや災害情報を積極的に公開してきていますが、私たち個人はどうでしょうか?自宅に届いたハザードマップをチェックしたことはありますか?

人は自分の身に降りかからないと行動を起こさないといわれています。

マイホームの近くに川や海や沼地がないから大丈夫と過信するのではなく、自治体から配られるハザードマップに目を通し、我が家はどのような土地に建っているのかを知ることが命と財産を守ることにつながるのです。

そして、著書では、川や海に面した土地だけが浸水のリスクを負うのではなく、地盤の低いところや下水道の排水処理がオーバーが原因で浸水する可能性があることも指摘。

一方で、風水害で被災したら私たちはすぐに火災保険の申請をしますが、多くの火災保険では水害被害はオプションかあっても床上浸水が適用範囲。

日本の戸建ては、建築費が安くリフォームしやすいことから木造建築がほとんどですから、床下浸水であっても被害は甚大です。

床下浸水は、浸水した床下の乾燥、消毒までを業者に頼むと費用もかかり、広範囲での水害であれば業者に頼んでも順番待ち。いつになるのかわからないストレスにさらされることになります。

不動産のリスクの責任は自分自身が負うことを自覚することが大切なのかもしれません。

3.第2章 土地の良し悪しをどう見分けるか

老後の住居を決めることは、一生をそこで過ごすことを決意することを意味します。もし、終の棲家が災害で住めなくなったら、あなたは立ち直れるでしょうか?

若い人と違って再起が保証されないのですから、土地の良し悪しを見分ける目を持たなければなりません。

購入予定が戸建てにしろマンションにしろ基礎は土地です。好条件がそろった物件があったとしても、土地が軟弱であったり、昔水害があったことを知ったら購入をためらいます。

では、土地の良し悪しを調べるにはどうしたらいいのでしょうか?

著書ではおもに3つの方法を紹介しています。

1.地名で土地の歴史を知ること

2.ハザードマップで調べる

3.中古住宅は「微動探査」を依頼

地名は「土地の履歴書」ともいわれ「川」「沼」「滝」「谷」が地名にあれば、その昔は川や沼であったことが予想されます。地名は図書館や役所の資料室で調べらるとのこと。

また、国土地理院地図では地盤や土地の歴史をインターネットでも調べられます。

地震で道路一本挟んだ向こう側とこちら側では家屋の倒壊に差があるのは地盤に違いがあったことニュースで目にしたことあるでしょう。地盤の揺れ具合を調査する「微動審査」が今注目されています。

中古住宅や更地を購入予定の人は「微動審査」の検討も必要のようです。

4.第3章 マンションは想像以上に風水害に弱い

3.11の震災以降、デベロッパーは地震に強い耐震、免振をアピールした高層マンションを建設してきました。しかし、近年の甚大な風水害でマンションが意外ににも風水害に弱いことを私たちは知ることとなりました。

著書では、マンションが風水害にあうリスクを知るために3つのポイントをあげています。

立地:マンションがどんな地域に位置しているか

構造:マンションがどのような構造になっているか

防災意識:管理組合や入居者の防災意識どうなっているか、具体的にどんな取り組みが行われ ているか

2019年の台風19号では、武蔵小杉のタワーマンションでは電気設備が地下にあったためにマンション全体の電力の供給がストップ。エレベーターが使えなくなり仮住まいを余儀なくされた人がいました。

武蔵小杉の土地は、昔は多摩川の河川敷の中にあり冠水しやすい土地であったとのこと。

耐震・免振に力を入れ、強度のあるタワーマンションでも立地が悪ければ住むことさえ許されない事態になるのです。

それと、老後を中古マンションで暮らす予定の人にとって重要なのが管理組合の「防災意識」です。

購入予定の管理組合に防災リーダーの存在しているのか。避難訓練の実行や備蓄品の管理。マンション住民の防災意識が高いか?を事前にチェックしておくことが命取りにならずに済むということです。

今や、マンションは「防災対応力」に着目して選ぶ時代になった、といっても過言ではありません。

高齢になれば体が不自由になり、足腰に不安を抱えながらの避難をしなければなりません。また自分が介護される側であったら自力で避難することはできません。

管理組合が高齢者へのの避難誘導について独自のマニュアルを用意しているかをチェックすることは将来の備えとして必要なことになってきているのです。

5.第4章 こんな一戸建てに注意せよ

老後は子どもと二世帯住宅を、都心から緑豊かな郊外で一戸建てを考えている人もマンション同様重要なのは立地だと。

戸建て住宅を選ぶのに重要なののは一に二にも立地です。木造住宅にするか、鉄骨造や鉄筋コンクリート造にするか、ということで頭を悩ませるのは、その後です。

一戸建てが風水害にあいやすい3つのリスクをあげています。

●水害リスクに遭いやすい土地に位置している

●先天的・あるいは後天的な構造上の問題を抱えている

●メンテナンスを怠っている

一戸建てのほとんどが木造建築であることから風水害の被害にあいやすい点です。

浸水のリスクを避けるには、ハザードマップでは浸水深を調べること、地表面からの基礎の高さが40cm以上が望ましいことなどを紹介。

一戸建てを購入する場合、ともすれば日当たりや最新のシステムキッチンなどの設備機器に目がいきがちです。老後の住居を水害で路頭に迷うことを避けるには立地から入ることを頭に入れて置く必要がありそうです。

6.第5章 減災のための事前対策・事後対策

この章では、風水害から不動産を守るためにマンションでは7つの事前対策を、一戸建てでは9つの事前・事後対策を紹介。

事前・事後対策として何をやるべきか、何を確認すべきかが詳細につづられているので参考になることばかりです。

7.まとめ

著書にたびたび出てくるハザードマップというキーワード。

私は、これほどまでに重要であるとの認識がありませんでした。自治体で配られたハザードマップは手元にあっても確認していなければ見ていないのと同じです。

いかに自分が防災意識が低かったかを思い知らされたと同時にこの本に出合えたことがチャンスととらえ家族と防災についてこれから話し合いたいと思います。

著者が地道に足で稼いだ情報や知識がもれなくつづられた「災害に強い住宅選び」

これから一戸建てやマンションの購入を予定している人には一読をおすすめします。

以下、参考までにハザードマップのHPを掲載しました。

【ハザードマップ参考サイト】

「重ねるハザードマップ」

ハザードマップポータルサイト
国土交通省が運営する、「ハザードマップポータルサイト」です。身の回りでどんな災害が起こりうるのか、調べることができます。

 

「わがまちハザードマップ」

わがまちハザードマップ
全国のハザードマップ公表状況をまとめた「わがまちハザードマップ」です。

 

国土地理院

地理院地図 / GSI Maps|国土地理院
地形図、写真、標高、地形分類、災害情報など、日本の国土の様子を発信するウェブ地図です。地形図や写真の3D表示も可能。

 

国土地理院地図

地理院地図 / GSI Maps|国土地理院
地形図、写真、標高、地形分類、災害情報など、日本の国土の様子を発信するウェブ地図です。地形図や写真の3D表示も可能。

「大規模盛土造成地マップ 東京都」

地理院地図 / GSI Maps|国土地理院
地形図、写真、標高、地形分類、災害情報など、日本の国土の様子を発信するウェブ地図です。地形図や写真の3D表示も可能。
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