和田秀樹著「70歳が老化の分かれ道」を読んだ感想を紹介。老いを遅らせる習慣とは何をするのか?また著者がいう「運転免許を返納してはいけない」とはどういうことなのかを記事にしました。
1.70歳は老いと闘える最後のチャンス
著者の和田秀樹氏は、老齢医学専門の精神科の医師。30年以上にわたって高齢者の医療現場にたずさわり多数の著書を出版。
「70歳が老化の分かれ道」では、著者が多くの高齢者を診てきた経験をもとに70歳は老いと闘える最後のチャンスといっています。
なぜ、70歳が最後のチャンスなのでしょうか?
70代の時期に身体機能や脳の機能を使う習慣をつければ、80代以降の要介護となる時期を遅らせることができるからです。
80代になってからの新たな習慣をつくることは、かなり難しいと思います。
ひと昔の70代は認知症などで寝たきりの人が多かった印象ですが、今や元気に仕事をしたり、趣味やボランティアにと活動している人が多いですよね。
80代に入って自分の老いと向き合い、病気に直面するといった時代になってきています。
身体の自由がきく脳細胞もクリアな70代にその機能を使う習慣をつけておけば、来るべき80代を健やかに過ごせるとのこと。
年金の受給開始年齢が65歳となり、2022年4月から年金制度改正により最大75歳まで繰下げ支給を選択できるようになりました。これは、70歳以降も働ける人が多くなる予想が背景にあると思われます。
では、70代ではどのような習慣を身につければよいのでしょうか。
2.老いを遅らせる70代の生活とは
老いを遅らせるために70代はどのような生活をしたらいいのかを多くの高齢者を診てきた和田医師がすすめる内容をピックアップしてみました。
以下引用
1.何事においても「引退」などしてはいけない
2.働くことは、老化防止の最高の薬
3.運転免許は返納してはいけない
4.実は、高齢ドライバーは危なくない
5.肉を食べる習慣が「老い」を遠ざける
6.陽の光を浴びる習慣が人々を若々しくする
7.脳の老化を防ぐのは、生活のなかの「変化」
8.インプットからアウトプットに行動を変える効果
9.70代の運動習慣の作り方
10.寝たきりにならない転倒リスクの減らし方
11.長生きしたければダイエットをしてはいけない
12.おいしいものを食べて免疫力アップ
13.70代になったら、人づき合いを見直そう
本書では、以上のことを習慣づける方法や理由が具体的で、かつ参考になることが多数あり60代の私も取り入れていきたいものばかりでした。
私の父は90歳(2022年現在)で耳が少し遠いものの、生活の身の回りのことは自分でできています。
起床後は、朝刊をすみずみまで読み、母と家事の分担が終わると30分~1時間散歩をし、ステーキやカツ丼などのこってりした肉料理が大好きで、老人会や県人会の集まりを楽しみにしている超高齢者。
父は退職後、約30年続けてきた習慣が著者がすすめる内容にほぼ同じであることが非常に興味深く感じました。
あなたの身近に元気に過ごしている高齢者に聞いてみてはいがかでしょう。きっと13の習慣のどれかを実行しているかもしれません。
3.「運転免許を返納してはいけない」とは?
高齢者が運転する死亡事故がメディアで取り上げられたことをきっかけに、高齢者の免許返納が叫ばれる世の中になってきています。
高齢者みずからが免許を返納する人がほとんどですが、中には同調圧力で不本意ながらも返納している高齢者もいるのではないでしょうか。
和田医師が70代にすすめる習慣の中で私が注目したのは「運転免許を返納してはいけない」と提案していることです。
著者はその理由を
運転免許を返してしまうと、ほとんど外に出ることができなくなってしまい、2~3年で介護状態になったり、認知症のような状態になったりする可能性が高まります。
さらに
筑波大の研究チームが要介護認定を受けていない人の10年追跡調査した結果
10年前に運転をやめていた人は、続けた人に比べて要介護リスクが2.09倍に。運転をやめて電車やバス、自転車を利用した人も1.69倍の要介護リスクがあることがわかっています。
免許返納によって要介護者が増えることは、医療費の資源を使い介護関係者の負担を増やすことになりかねません。
今地方自治体では免許返納者へさまざまなサービスをおこなっていますが、とはいえ個人的には自家用車をこえる便利度はないように思えます。
最近の発売されている自家用車のほとんどがサポートのシステムを搭載。警視庁では今年(2022年)からサポートカーの運転を限定にした「サポートカー限定免許」も始まります。
今後高齢者人口が増える中、免許返納の選択肢がある一方で、高齢者の足となる自家用車を運転し続けるシステムを早急に作り上げる必要あるのではないでしょうか。
3.まとめ
多くの人が望む「健康長寿」のカギは、70代をどう過ごすかにかかっていて、それじゃ何をすればよいのかをより具体的に著書「70歳が老化の分かれ道」が教えてくれています。
いいえ70歳になってからではなく!老後の入り口にいる60代の私にとって、健康長寿に向けて今からでも習慣化したい指南書ともいえる本でした。
著者の和田秀樹氏は
老いは2つの時期に分けて考えることが求められていると私は考えています。70代の「老いと闘う時期」と、80代以降の「老いを受け入れる時期」の2つです。
ならば、60代の私は今「老いへの準備期間」にいるのではないかと。70代の闘う時期を迎える前に準備をしておくともっとラクに70代を過ごせるはずと思っています。