1.健康保険組合が解散すると協会けんぽに加入することに
健康保険組合連合会(けんぽれん)は2017年9月8日に
「平成28年ど健康保険組合決算見込の概要」を発表しました。
健康保険連合会(けんぽれん)とは、1,399ある健康保険組合をまとめた
組織のようなものです。
平成29年3月末現在、1,399の組合を集計した結果は全体として
2,373億円の黒字でした。
しかし、1,399組合中543組合が赤字で全体の38.81%にもなっていたんです。
約40%もの健康保険組合が赤字とは驚きの数字ですよね。
健康保険組合が存続できなくなると解散することになります。
では、解散すると健康保険はどうなるのでしょうか?
健康保険組合が解散すると、「全国健康保険協会」(協会けんぽ)に
加入することになります。
「全国健康保険協会」(協会けんぽ)は、おもに中小企業で働く会社員と
その家族が加入する健康保険制度を運営している公的な法人です。
「健康保険組合」と「全国健康保険協会」(協会けんぽ)では
給付などの内容が違ってきます。
その違いを簡単に表にしてみました。
給付内容 | 健康保険組合 | 協会けんぽ |
一般保険料率 | 9.0% | 9.93% |
介護保険料料率 | 1.25% | 1.65% |
高額療養費 | 25,000 | 80,100 |
傷病手当金 | 傷病手当金 +傷病手当金付加金 | 傷病手当金 |
出産育児一時金 | 490,000 | 420,000 |
出産手当金 | 出産手当金 +出産手当金付加金 | 出産手当金 |
埋葬料 | 100,000 | 50,000 |
※健康保険組合の給付内容は一般的な協会けんぽの保険料率は神奈川県の場合。
「健康保険組合」は、保険料率が低く、付加給付が付いています。
一方で、「協会けんぽ」は一般、介護とも保険料率(神奈川県の場合)が高く
付加給付がありません。
特に高額療養費の給付額に大きな差があります。
50代は、これから病気になる確率が高くなる年代。
医療費の給付額の差は注目すべきところではないでしょうか。
加入している健康保険組合の決算が黒字なのか?それとも赤字続きなのか?
組合員としては気になるところ。
健康保険組合のホームページでは決算報告を記載しているところもあります。
また、「○○健康保険組合 決算」などのキーワードで検索してみるといいでしょう。
2.健康保険組合が解散する前に私たちがするべきこと
健康保険組合が赤字が続いてもすぐに解散することはできません。
健康保険法では健康保険組合の解散について以下のように決められています。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/T11/T11HO070.html
第二十六条 健康保険組合は、次に掲げる理由により解散する。
一 組合会議員の定数の四分の三以上の多数による組合会の議決
二 健康保険組合の事業の継続の不能
三 第二十九条第二項の規定による解散の命令2 健康保険組合は、前項第一号又は第二号に掲げる理由により解散しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
※一部を抜粋
健康保険組合が解散するには、いくつかのハードルと越えなければならず
簡単ではありません。
しかし過去には、物流の「西濃運輸」やお寿司の「京樽」の健康保険組合が
解散しています。
解散は個人の力が及ぶところではないですが、明日は我が身と
思っておいた方がいいでしょう。
協会けんぽよりもメリットが多い健康保険組合に加入中にすべきこと
そのサービスを十分に活用することです。
例えば
- 人間ドック
- 禁煙サポート
- 無料の歯科検診
- 日帰りバスツアー
- 健康・介護教室
- シニアの健康教室
- 保養所
など健康保険組合のサービスのいくつかをあげてみました。
加入している健康保険組合のサービスにもこれのいくつかはあるはずです。
もし、利用していないのであればもったいないので確認してみましょう。
次に、高額療養費を利用して病気を治しておくことです。
健康保険組合によっては、高額療養費を20,000円~25,000円にしている場合も
少なくありません。
体調に不安があるのであれば、検査を受けるなど積極的に利用しましょう。
もし、健康保険組合が解散となると協会けんぽへの加入となりますが
給付内容にメリットがないからと、新たに民間の医療保険に入ることのないように
したいもの。
協会けんぽになっても、健康保険には変わりはないので冷静に考えてからでも
遅くはありません。
3.健康保険組合のサービスや活動に目を向けよう
加入している健康保険組合の給付やサービスを確認したことがありますか?
健康でいると「私には関係ないわ!」と興味を持つことがないかもしれません。
私が派遣で働いていた会社の健康保険組合は、給付も手厚くサービスも充実していました。
仕事と家事の忙しさを理由にサービスさえも受けることなく退職しました。
今思えばなんてもったいないことをしたんだろうって後悔しかありません。
夫の健康保険組合より充実していたのにと。
毎月の給与から健康保険料を払っているのですから
どんな付加給付やサービスがあるのか?目を向けて積極的に活用しないと
もったいないです。
また、加入中の健康保険組合がこの先存続できるのか?
それともこのままでは解散になるのか?
決算報告にも目を通しておくことで
事前に悪いところを治してしまうなど対応もできるでしょう。
赤字の健康保険組合が38%であることから、健康保険組合について関心を持つことが
大切ではないかと思います。