1.在職老齢年金の年金額が思ったより減らされた理由
夫は62歳で特別支給の老齢厚生年金をもらえることになり年金請求書を提出して
1か月あまり。年金証書が届きました。
年金証書を見てびっくり!なんと!年金の4割しか支給されないことが
わかったのです。
例えば、年金額が10万円のところ、もらえるのは4万円。
つまり、10万円の内6万円が支給停止なり、将来働くのをやめて年金だけの
生活になってもこの6万円は戻ってこないんです。
では、なぜ思ったより年金額が減らされたのか?
それは、在職老齢年金を計算するときに使う「総標準報酬月額相当額」を
ちゃんと計算していなかったから。
毎月の給料がこんなに少ないんだから、年金だって少ししか減らされない
だろう。たくさん給料をもらっている人だけだろうと高をくくっていんです。
夫も「こんなに年金が減らされるんじゃ働く意欲なくなるよ」と。
働ける場所があり、62歳から一部でも年金がもらえるのはとってもありがたく
感謝しています。ただ、人間って期待していたお金の金額が予想以上に少なかった
時ってすごく落ち込みますよね。
そこで、私たちのようにならないために、在職老齢年金の計算について
ご紹介したいと思います。
2.在職老齢年金の総標準報酬月額相当額って何?
なぜ、思ったより年金額が減ったのか?調べてみると
在職老齢年金の計算の元となる総標準報酬月額相当額をちゃんと計算していなかった。
まずは、総標準報酬月額相当額っていったい何なのか?
在職老齢年金を簡単にいうと、60歳以上で年金をもらいながら働いて賃金をもらったら
年金の額を減らしますよというもの。
夫が定年後も賃金をもらいながら働き続けていて、62歳から厚生年金をもらうことに
なったので、そうすると在職老齢年金制度の計算に当てはまり、年金の額が減らされました。
では、この在職老齢年金の計算をする上で大切なのが総報酬月額相当額を知ることです。
総報酬月額相当額とは
=総報酬月額相当額
毎月の賃金(標準報酬月額) +1年間の賞与(標準賞与額)を12で割った額
標準報酬月額は会社によっては給与明細に記載されているので確認してみましょう。
1年間にもらう賞与(ボーナス)の合計を12で割ったものを(標準賞与額という)
総報酬月額相当額の他に必要なのが基本月額です。
基本月額は、1年間もらう年金額を12で割った額をいいます。
ここから在職老齢年金を計算してみます。
60歳~65歳まで計算式が5つ用意されていて、年金や賃金によって違ってきます。
②の「基本月額が28万円以下で、総報酬月額相当額が46万円以下のとき」を使って
計算してみます。
【基本月額が18万円 総報酬月額相当額が30万円の場合】
この場合、年金が18万円と賃金が30万円だから、減額されなければ48万円の
収入となるわけです。
では、在職老齢年金の②に該当するので年金がいくら支給停止になるのか計算してみます。
基本月額が18万円
総報酬月額相当額30万円
(総標準報酬月額相当額 + 基本月額 - 28万円)×1/2×12
=支給停止額
(30万円 + 18万円 -28万円)×1/2×12
=10万円
年金の支給停止額(月額)10万円となります。
結果、毎月もらえる年金額は8万円
年金18万円 - 支給停止額10万円 =8万円
賃金の30万円と減額されて残った8万円を合計すると
38万円が毎月の収入。
10万円も減額されることをもらう前から知っておけば
生活費を見直したり、専業主婦の奥さんパートへ働きにでたりと
生活設計を見直すことだってできます。
これはあくまでもひとつの例ですから、全員がこんなに減額されるわけでは
ありませんが、この数字が当てはまる人も多いはず。
本来もらえるはずの年金が56%も減額されるなんて!
夫は②に該当していることがわかって、きっちり60%減額されました!
先ほども述べたように「支給停止」された期間の年金は戻ってきませんから
なおのことショック!は大きいですよね。
在職老齢年金は「年金」って名前がつくから別の種類の年金がもらえるのかと
思ったら逆に減らされるという悲しい制度なのです。
尚、在職老齢年金は、厚生年金に加入中の働き方をしている人が対象で、パートなどで
加入していない人は対象にならないようです。
3.在職老齢年金の65歳以上はどうなっているの?
65歳以上の計算式は2つ。基本月額(年金)と総報酬月額相当額の合計が
46万円を超えるかどうかで決まります。
65歳になると、厚生年金と国民年金をもらいますが、厚生年金のみ計算の対象になります。
基本月額と総標準報酬月額相当額の合計が46万円を超えている
=支給停止額
(総報酬月額相当額 + 基本月額 - 46万円)×1/2×12
結果は、年金16万円のうち6万円(38%)が減額されることになります。
在職老齢年金は65歳以上になると、びっくりするくらい減額されなくなります。
これは多分、65歳以上で年金と賃金あわせて46万円以上の人口が少ないから
じゃないでしょうか
最近は、65歳を定年の方向に向かっていますし、雇用延長で70歳まで働こう!って
流れになってきていますから、近い将来は、65歳以上で働く人の年金をもっと
減額しようってことになるかもしれませんね。
4.年金を減額されても働き続ける
毎日満員の通勤列車にゆられ、老体にムチ打って働いているのに
こんなに年金が減らされるんじゃもったいない!
仕事なんてやめちまえぇ!って言いたくなりますよね。
年金が減額されるのを避けて、正社員からパートにかえている人も
いると聞きます。
夫は、再雇用の少ない賃金から保険料を払っているとはいえ、会社の健康保険組合の
組合員であることの恩恵を受けていますし、厚生年金の保険料も給料から天引きされて
いるので、65歳になれば年金額に反映されるはずなのでこのまま働き続けるようです。
今、仕事を辞めたら、62歳の夫に希望の職種にありつけることはないでしょう。
本人もそれがわかっているから辞めるとは言えないのかもしれません。
年金の制度は非常にわかりにくいから、調べるのって面倒くさいんですよね。
でも、初めから年金の減らされる額を知っていたら、私たちみたいにショック!を
受けることなく、改めて生活設計ができたに違いないのです。
これから、在職老齢年金をもらう予定の人は、減額されるのか?減額されるなら
いくらなのか?年金機構に聞いてみるとか、ちゃんと調べておくことをおススメします。
尚、この在職老齢年金の記事は、わたくし瑠璃子個人が書いているものなので
くわしいことは年金事務所、社会保険労務士などにお尋ねください。