目次
1.なぜ夫が57歳なら在職老齢年金のことを考えるのか?
在職老齢年金は、60歳を超えて、老齢厚生年金を受給しながら、厚生年金保険のある会社で働いていると、給与に応じて年金が減額される制度。
収入が多い場合には「支給停止」つまり老齢厚生年金が出ない場合もあります。
この制度は、60歳以降と65歳以降で年金の支給停止なる基準が違ってきます。
60歳以降65歳未満では、毎月の給料と毎月の年金額をあわせて28万円以下なら年金の減額がありませんが
28万円以上になると年金額が減額もしくは支給停止にまでなるので注意が必要です。
では、夫が定年前のまだ57歳であるにもかかわらず、60歳以降在職老齢年金のことを考えなければならないのか?
まだ早いんじゃない?と思われるかもしれませんが
2018年現在夫が57歳以上であれば、この在職老齢年金の対象になってくるからなのです。
2.再就職先が決まっていなくても厚生年金の受給額を確認しておこう
政府は、2013年より65歳までの継続雇用を企業に義務付ける「改正高年齢者雇用安定法」が施行されました。
この法律には、本人が希望すれば60歳以降も働き続けらる「継続雇用制度を導入する」が含まれていて
現在企業のほとんどがこの制度を導入。この場合60歳以降の賃金を下げられることがほとんどなのです。
厚生労働省「平成29年賃金構造基本統計調査の概要」のデータをみると、50歳から55歳までの賃金がピークで
徐々に下がり始め、定年後の60歳以降は300万円前後まで落ち込みます。
グラフをみると、大企業・中小企業にかかわらず、ほとんどの人が定年後の収入が300万円前後。
例えば今57歳が65歳以降も厚生年金の保険料を払う働き方をする場合、64歳から厚生年金部分1年間受給することになります。
この1年間が「在職老齢年金」の対象となってくるのです。
例えば、年金の減額を計算すると
厚生年金が18万円(月額)、給与が30万円(月額)の場合
下記の計算例によると、厚生年金(月額)18万円のうち10万円
1年で120万円もが減額になります。
年金が120万円減額されることが事前にわかっていれば、1年間減額されても働き続けるのか?それとも63歳で仕事を辞めて年金だけで生活するのか?
または、厚生年金保険料を払わないパートなどにするか?など対処を考える時間があります。
年金が減額されるのを避けて、再就職せずパートで働く人もいるようです。
ただ、年金収入をあてにした生活設計をしていたら、この在職老齢年金のせいで見直すことになるかもしれません。
我が家の夫の場合も給料が少ないから在職老齢年金に該当しないだろうと高をくくっていたら、見事に6割減額されました!
なので、60歳以降の再就職先の給与と年金額を調べておくと慌てることなく生活設計が建てられるでしょう。
3.厚生年金の受給額だけでも確認しておこう
継続雇用または再就職先の給料が現時点でわからなくても、年金の受給額はねんきん定期便などで確認できます。
くわしい年金額が知りたければ年金事務所へ相談へ行くと担当者が詳しく教えてくれますので
時間を作ってみましょう。
夫の都合が悪ければ、委任状を持っていけば妻でも教えてくれます。
4.在職老齢年金が廃止される?
2018年6月在職老齢年金の制度を廃止も視野に見直しをおこなうことがわかりました。
少子化で労働人口が減るなか高齢者の労働意欲をそぐとの声から見なおすとのこと。
ただ、これから審議をへて2020年の国会に法案を提出し成立したとしても、年金機構のシステム変更などで成立してから1~2年後になるそう。
年金制度はこれまでも数々の改正を行われてきました。
複雑すぎて専門家ですらわからないこともあると聞きます。
老後の生活費の基本となる年金です。年金に関する情報には普段からアンテナを張っておいて、知らなかったと損をすることのないようにしたいものです。