サラリーマンの妻で専業主婦の瑠璃子。
老後の生活費には、不安がいっぱい。
もし、夫が亡くなってしまったら、いったい生活はどうなるんだろう?
夫が先に亡くなることを考えるのは申し訳ないけれど、後悔しないようにしたい。
会社員のの夫が亡くなったときに給付される「遺族厚生年金」って
あるのは知っていたけれどどんな年金なのか?
瑠璃子ももらえるのか?心配です。
そこで、遺族厚生年金について調べることにしました。
目次
1.遺族厚生年金とはどういう年金か
以下の条件で調べてみました。
夫も妻も65歳前で年金をもらっていない場合
1.夫は会社員で働いている(65歳前)
2.妻は専業主婦(65歳前)
遺族厚生年金とは
遺族厚生年金は、厚生年金保険の被保険者または被保険者であった方が
次のいずれかの要件に当てはまる場合に、その遺族が受け取ることができます。
①厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき。
②厚生年金保険の被保険者期間に初診日がある病気やケガが原因で
初診日から5年以内に死亡したとき。
③1級・2級の障害厚生(共済)年金を受け取っている方が、死亡したとき。
④老齢厚生年金の受給権者、または老齢厚生年金を受け取るために必要な加入期間の
条件を満たしている方が死亡したとき。
遺族と名前がついているので、亡くなった妻や家族に給付されます。
給付対象になるのは、4つです。
①会社員で働いていて、厚生年金を給料から天引きされている人が死亡したとき。
②会社員で働いているときに、病気やケガで入院していて(診察を受けた日を初診日という)
5年以内に死亡したとき。
③障害厚生年金をもらっている人が死亡したとき。
③すでに老齢厚生年金をもらっている人。加入条件を満たしている(25年以上)が死亡した時
夫が会社員なので、①に該当することになります。
2.遺族厚生年金を受け取ることができる遺族について
それでは、遺族厚生年金を受け取れる遺族って誰になるのでしょうか?
老齢厚生年金を受け取ることができる遺族は、死亡当時、死亡した方によって生計を維持されていた
以下の方が対象で、最も優先順位が高い方が受け取ることができます。
遺族の優先順位と受け取る遺族年金の種類の例
生活を維持されていた人が対象になります。
つまり、夫の給料で一緒に生活していた人ということになります。
さらに、妻だけじゃなく子や孫にまでと対象が広いですね。
優先順位が高い遺族
1.子のある妻or子のある55歳以上の夫→遺族厚生年金 + 遺族基礎年金
2.子→遺族厚生年金 + 遺族基礎年金
3.子のない妻→遺族厚生年金 + 中高齢寡婦加算額
4.子のない55歳以上の夫→遺族厚生年金
5.55歳以上の父母→遺族厚生年金
6.孫→遺族厚生年金
7.55歳以上の祖父母→遺族厚生年金
※子や孫は死亡当時18歳になった年度の3月31日までの間であること。
子どもが18歳を過ぎた妻の場合
3.子のない妻→遺族厚生年金 + 中高齢寡婦加算額
に該当することになります。
3.遺族厚生年金の額
子のない妻は遺族厚生年金と中高齢寡婦加算額を受け取ることがわかりました。
それでは、遺族厚生年金はいったい、どれくらいもらえるのでしょう。
Ⅰ遺族厚生年金の額の算出
老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4
報酬比例部分は、平均標準報酬月額で計算しますが
ここでは、省略したます。
夫の厚生年金の報酬比例部分が仮に120,000円(月額)だとすると
120,000(月額) × 3/4 = 90,000円(月額)
遺族厚生年金をもらえる額は、90,000円(月額)となります。
Ⅱ中高齢寡婦加算額
次のいずれかに該当する妻が受け取る遺族厚生年金には
40歳から65歳になるまでの間、585,100円が加算されます。
夫が死亡したときに妻が40歳以上65歳未満で
生計を同じくする子がいない場合。
遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていたが子が18歳になったので
遺族基礎年金を受け取ることができなくなった場合。(省略あり)
妻は40歳~64歳までの間に
中高齢寡婦加算が585,100円(年額)
48,758円(月額)もらえることになります。
※中高齢寡婦加算は、夫が20年以上厚生年金をかけていること。
妻が65歳前に夫が死亡した場合
遺族厚生年金 +中高齢寡婦加算額 = 年金の額
90,000円(月額) + 48,758円(月額) = 138,758円(月額)
夫の死亡~妻が65歳までは、138,758円(月額)もらえることになります。
夫が亡くなっても、自分の老齢基礎年金や老齢厚生年金が出る前に
もらえるのは、とってもありがたいです。
夫が死亡すると、精神的な心の支えを失って悲しみで何も手につかない状態でしょう。
そこへ、毎月入っているはずの給料がないとなると
途方に暮れることになるのではないでしょうか?
でも、長年夫を支え、家族のために日々家事をしてきた妻に
たとえ、ビビたる金額であっても、もらえるのは嬉しいですね。
4.夫婦ともに65歳を過ぎてから、夫が死亡した場合の年金額はどうなるのか
すでに、夫婦ともに年金生活を送っていても、夫が先になくなることもありますよね。
そんな時の年金は、どうなるのでしょう?
夫も妻も65歳を過ぎて年金をもらっている場合
1.夫が老齢厚生年金を受給している(65歳以降)
2.妻は老齢基礎年金を受給している(65歳以降)
公的年金は、1人1年金が原則ですが、65歳以上の方は
遺族厚生年金とご自身の老齢基礎年金、老齢厚生年金、障害基礎年金
または旧厚生年金保険・旧国民年金の老齢年金の一部または全部併せて受け取ることができます。
65歳を過ぎると妻は老齢基礎年金(国民年金)をもらえます。
そこへ、夫の死亡により遺族厚生年金が加算されます。
老齢基礎年金 + 遺族厚生年金 = 年金の合計額
65,008円(月額) + 90,000円(月額) = 155,008円(月額)
妻が国民年金しかはらっていなくても
遺族厚生年金が加算されて155,008円(月額)もらえるのは
ありがたいことです。
5.妻が65歳以降、厚生年金を受給している場合はどうなるのか
妻が、過去に会社員として厚生年金を払っていた人も多いと思います。
すると、妻が65歳以降、老齢基礎年金と老齢厚生年金がもらえます。
妻の老齢厚生年金が仮に50,000円(月額)だとすると
65歳以降の妻の年金は
老齢基礎年金 + 老齢厚生年金 = 月額
65,008円(月額) + 50,000円(月額) = 115,008円(月額)
そこへ夫(65歳以降)が死亡すると遺族厚生年金が加算されます。
遺族厚生年金の額を仮に90,000円(月額)として
老齢基礎年金 + 老齢厚生年金 + 遺族厚生年金 = 年金の額
65,008(月額) + 50,000(月額) + 90,000(月額) = 205,008円(月額)
となるはずですが、205,008円はもらえません。
妻が老齢厚生年金をもらっていると、遺族厚生年金額が減らされるんです。
65歳以上で遺族厚生年金と老齢厚生年金を受け取る権利がある方は
老齢厚生年金は全額受給となり
遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額の支給が停止となります。
老齢厚生年金は、妻が直接払ってきた年金だから優先して支給します。
だから、遺族厚生年金(夫)は老齢厚生年金(妻)の額との
差額分を支給しますよということです。
老齢基礎年金 + 老齢厚生年金 + (遺族厚生年金 - 老齢厚生年金) =支給額
65,008 + 50,000 + (90,000 -50,000)=155,008円(月額)
となります。
なんだか、とっても複雑でわかりづらいですよね。
6.まとめ
専業主婦の夫が死亡した時の、老齢厚生年金について調べてみてわかったこと。
妻が65歳前の場合
遺族厚生年金 + 寡婦加算額
妻が65歳以降の場合
老齢基礎年金 + 遺族厚生年金
妻が65歳以降、厚生年金をもらっていたら
老齢基礎年金 + 老齢厚生年金 + (遺族厚生年金 – 老齢厚生年金)
ざっくりとこんな感じなんだなぁとわかっていると
いざ!夫が亡くなった時に、あわてなくてもいいかもしれませんね。
調べる前は、「遺族厚生年金は子どもがいる人しかもらえないんだから
今の私には関係ないでしょ」と知ろうともしませんでした。
ところが、母から「お隣の奥さんが、夫が亡くなっても、遺族厚生年金があるから
なんとか食べていけるのって言っていたのよ」と聞いて
私は、「えぇ!お隣の奥さんは、70歳を過ぎていて、子どもは確か家庭を持っているはず。
なのに遺族厚生年金をもらえるんだぁ」と。
これは、私が、な~~んにも知らないだけじゃないの?
調べてみなくちゃと思ったのが、きっかけでした。
夫が亡くなった!となると、葬儀の準備、親戚への連絡、お世話になった方の挨拶と
妻は休む暇がないほど忙しいです。
やっと一息ついても、悲しみの中で何も考えたくないかもしれません。
でも、妻は生きている限り、生活していくのにお金が必要です。
だから
「そういえば、お父さんが亡くなったら遺族厚生年金がもらえるって聞いていたわ」と
頭の片隅に置いてくといいでしょう。
もし、「なんだか忘れてしまいそう」なら、子どもに伝えておくとか、メモを残しておくこともできます。
年金は、申請主義をとっているので「年金はいつになったら、もらえるのかしら?」とのんびり待っていても
手続きしなければもらえません。
夫と妻が、長い間払ってきた年金です。損をしないようにしたいものです。
しかし、会社員は厚生年金は天引きなのに、もらう時は申請しないともらえない。
7.請求手続きと問い合わせ先
夫が亡くなったらすぐに手続きをしましょう。
請求手続き先→年金事務所
添付書類→戸籍謄本、死亡診断書
※添付書類は、死亡した原因などによって異なるので、年金事務所、街角の年金相談センター
ねんきんダイヤルに問い合わせてみましょう。
手続きの流れ
1.「年金請求書」を年金事務所に提出
2.「年金証書」「年金決定通知書」「年金を受給される皆さまへ(パンフレット)」が
自宅に届く。
3.1~2ヶ月後に振込が始まります。
問い合わせ先
ナビダイヤル 0570-05-1165
受付時間
月 曜 日 午前8:30~午後7:00
火曜~金曜日 午前8:30~午後5:15
第2土曜日 午前9:30~午後4:00
※問い合わせの際は、基礎年金番号がわかるものを用意する。