目次
1.老後の住まいを賃貸にするとどうして借りられないのか?
老後高齢者になるとどうして賃貸を借りられなくなってしまうのでしょうか?
それは、高齢者特有の理由があって、家賃の滞納、痴ほう症、孤独死、夜逃げ、ゴミ屋敷とあげればキリがないほどのリスクを借主側が背負うことになるからです。
でも、賃貸を契約する時に保証人もしくは連帯保証人が必要なのだから、そちらに対応してもらうのがスジじゃないの?と思うかもしれません。
だけど、高齢者は若い人と違って長く住み続ける傾向にあるので、その間に保証人、連帯保証人との縁が切れた状態になっていることもあり、仮に孤独死していた場合は家主や不動産管理会社は簡単には手が出せません。
賃貸契約をした借主が死亡した場合、賃借権は相続人に相続されることになっているので、相続人である子どもなどの了解がなければ家主が勝手に片付けたり、リフォームして借主を募集することはできないことになっています。また家賃を滞納している場合、家主が出ていってほしくても借主が「行くところがない」と泣きつかれたらどうしようもないのが現実だそうです。
仮に訴訟を起こして判決を勝ち取って強制執行を申し立てても、執行された高齢者の行く末を考えて執行官が執行してくれないこともあるという。執行官が借主の状況を見て判断して決めているとのこと。
「老後に住める家がない!」太田垣章子著
家主側が不利にならない法律や制度の見直しが迫られているのかもしれません。
2.老後の住まいが賃貸ならリスクに備えて今からすべきこと
賃貸を借りる側も家賃さえ払えばいい!ではなく家主や周りの人に迷惑をかけないための準備が必要な時代に入ったといえるでしょう。
ではどんな準備が必要なのか?いくつかあげてみました。
1.ライフプラン表を作成し資産を把握する
老後を賃貸で暮らしていくには毎月の家賃と更新料が必要になってきます。平均寿命が延びている今60歳の定年を迎えても20年~25年の間の賃貸料はかなりの額になってくるでしょう。
頭では「何とかなるはず」と思っても実際に数字にしてみないことにはわからないことです。
まずは、今ある資産はいくらなのか?毎月入っている年金の額はいくらなのか?Excelを使って簡単なライフプラン表を作成してみます。
例えば、家賃60,000円に住んでこの先25年生きると仮定するとどれくらいのお金が必要でしょうか。
60,000×12か月×25年=1800万円
40,000×12か月×25年=1200万円
家賃60,000円に住むと1800万円、家賃40,000円に住むと1200万円にもなります。
これに更新料を含めるとかなりのまとまったが額が必要となります。もし夫に先立たれたら妻は遺族年金となり収入減ってしまうことも考慮しなければなりません。
家賃の滞納で追い出され路頭に迷うことのないようお金の管理が重要になってきます。
2.断捨離をして荷物を少なくする
まだ足腰が丈夫なうちに断捨離をして荷物を少なくすることが大切です。
高齢になると体が思うように動かないので断捨離するのが億劫になって手つかずの状態に。ひいては足の踏み場のない、掃除も行き届かない不衛生な住まいになってしまう恐れがあるからです。
人はいつ亡くなるかわかりません。ものであふれた住まいの片づけを丸投げできますか?家主や家族に迷惑をかけないためにも日々の断捨離は必要だと思います。
3.身元引受人を誰にするか決めておく
高齢になるといつ病気や死が訪れるかわかりません。特にひとり暮らしになって部屋で倒れて入院した、病気で施設に入った場合、その情報を家主や不動産管理会社が真っ先に教えてほしいのが身元引受人です。
今は個人情報保護法で家主といえども、借主のことは簡単に教えてくれないところが多いのです。
身元引受人がわかっていれば、入院した借主は戻ってくるのか?賃貸契約はどうするのか?施設に入ったら家賃をどうするのか?を相談できます。
入居前に身元引受人には子どもになってもらうのか?兄弟にお願いできるか?確認しておくことが大切です。
4.遺言書を書きその存在を身内に教えておく
2020年7月から自筆証書遺言を法務局で預かってもらえるようになりました。
これは自分で書いた遺言書を法務局で預かってもらうことで、遺言書が見つからない、あることを知らない、あっても改ざんされるといったトラブルがなくなります。
遺言書はお金持ちが亡くなったあと相続争いにならないために書くものでもありますが、一方で自分が亡くなった後の荷物の処分方法やその処分は誰にお願いするのかを一筆書いておけばトラブルを避けることができます。
自分が亡くなった後迷惑をかけないためにもこれからは遺言書を書くことが必要な時代になってきているのかもしれません。
5.自分の寿命より長そうな物件を探す
65歳以降賃貸を選ぶ時、これからの自分の寿命よりも建物が長生きしそうな物件を選ぶことです。
マンションの耐用年数は約60年といわれているものの、その前に建物や水回りの老朽化で建て替えや取り壊しがされていることもあるようです。
高齢で身動きが取れない状態での立ち退きは厳しいと言わざるを得ません。
新築物件は家賃もおのずと高めに設定されている場合もありますから、家賃と築年数をよく考慮して決めなければならないでしょう。
6.最新の見守りサービスをチェック
最近ではひとり暮らし高齢者向けの民間のサービスが出始めています。
自分の行動が見張られているようで嫌だ!と思うかもしれませんが、足腰が立たなく健康に不安を持つようになったら積極的に取り入れることが大切だと思います。
これは自分に何かあったときにすぐに気づいてくれる安心感を得られると同時に気づかう側もすぐに対応できる両方のメリットがあるからです。
この先もっと使い勝手のより見守りサービスが出てくるかもしれませんから情報をこまめにチェックするとよいでしょう。
7.公的なサービスの内容を知っておく
国や地方自治体では住民のためにさまざまなサービスをおこなっています。
地方独自の取り組みもありその恩恵を知らずに使わないでいることはとてももったいないことです。
ただ、住民サービスの情報は自分から取りにいかなければ入手できないことが難点。
自分が住む市町村ではどのような住民サービスがあるのか、毎月の広報やネットでチェックし最新情報を得られるようにしましょう。
3.誰かが何とかしてくれる時代は終わった
昔の家制度では長男が親の面倒や財産を引き継ぐことで事なきを得ましたが、今は時代が変わり誰かが何とかしてくれる丸投げの時代は終わりました。
高齢者の孤独死やゴミ屋敷問題は賃貸や持ち家に限らずクローズアップされています。
これからの私たちは、人に迷惑をかけずに生きていくには何が必要なのか?賃貸を選ぶ人だけじゃなく持ち家の人にも共通のことではないでしょうか。
人生100年時代、長生きリスクと生きていくためのリスクにどう対処していくか知恵や知識を持つ時代に突入したのかもしれません。
※この記事は「老後に住める家がない!」太田垣章子著から一部引用しています。