1.母はなぜこの鏡台を処分できないのか?ワケを知ることで親の気持ちを知った。
この鏡台は、私が高校生の時に母に買ってもらったものなので、もう40年前のものです。
帰省した折に、鏡台の引き出しを開けてみたら、洗濯バサミが1個入っているだけ。
要は、使っていないのです。
母は、自分のベットの脇に鏡台を持っていてそれを使っているのです。
私の鏡台を使っていないなら処分すればいいのに。
そこで私はいいました。
「この鏡台処分してもいいんじゃない。解体できそうだから私がするよ」
すると母は「処分したくなったら、お父さんにお願いするからいいの。そのままにしておいて」と。
私ならとっくに処分しています。
なのに40年以上前の鏡台を今も持ち続けている母。
数日後父が「お母さんはこの鏡台に時々座っているんだよ。きっと瑠璃子が家にいた時のことを
思い出しているのかもしれない」と。
私は、この鏡台を使っていたのは、高校生から結婚するまでの10年くらいです。
OLになってからは、髪をセットしたり、化粧をしたり毎朝ここに座っている私の姿を
母は見ていたんです。
そして、その姿を母は時々思い出しているのです。
今は遠く離れている私のことを思い続けている母。
このことを知ってから、もう「鏡台処分したら」と言えなくなってしまいました。
80歳を過ぎた母に、断捨離をすすめる時に、捨てられない理由や思いを
深く掘り下げて聞くことが大事だと思いました。
2.母は未練のないものはすぐに処分できた。
この写真は、母自身が処分することを決めたモノです。
1番下の箱には、使えなくなった電気かけ毛布、その上は昔流行したスーツケースや父のバッグ類。
私が本当に処分してもいいのかと聞くと母は「もうボロボロで使えないモノだから未練はないわ」
未練がない。なるほど未練がないとスッパリ処分ができるんだ。
80歳を超えた高齢の母でも、未練がないものは処分できるんだ。
母が鏡台を処分できないのは、私の想像を超えた未練を持っていたことに
気づかされました。
そこを理解しないと、この先の断捨離は母と娘のバトルのくり返しだけで
前には進められなかったでしょう。
母が未練のないモノを処分する行為を私は「よく処分する決心したね」と
褒めてあげました。
母は照れくさそうに「納戸にスペースができてよかったわ」と笑顔で
答えてくれたのです。
3.実家の断捨離は思った以上に時間がかかる。
私が自分の持ち物を断捨離するときでも、処分できないモノがあります。
まして、80歳を過ぎて、戦後のモノのない時代に育った世代であれば
そう簡単にいらないモノを処分できないでしょう。
いらないモノをどんどん処分しましょうと言って、はいそうですねとは
簡単にはいかないのです。
高齢であれば、時間をかけて少しずつ。
未練のあるモノはそのままに。未練のないモノは処分する。
母の思いに寄り添っていくことの大切さを鏡台から学びました。