目次
1.「夫のトリセツ」黒川伊保子氏プロフィール
「夫のトリセツ」の著者黒川伊保子氏は、奈良女子大学理学部物理学科を卒業後コンピューターメーカーでAI(人口知能)に携わり脳とことばの研究をスタート。
時を経て日本語対話型コンピューターや語感分析の開発などを手掛けている人工知能の研究者です。
2018年出版の「妻のトリセツ」に続く第二弾「夫のトリセツ」は、難しい脳のメカニズムを実生活に基づいた見地を織り交ぜながら夫に絶望する妻へ対処方法をアドバイスしています。
子育て中の夫婦喧嘩は、時に子どもが緩衝材となってやり過ごすことで譲歩した妻もいざ子どもが独立したとたん夫婦喧嘩の深刻さが増すと言われています。
程度の差こそあれ夫に不満を持ち夫婦2人の生活に不安を抱いている妻は多いはず。脳科学の視点から脳のしくみと解決策について本書から一部ご紹介します。
2.第1章 神は、夫婦を別れさせようとしている
男脳と女脳のしくみは正反対だ。太古の昔男たちは危険な野山へ狩りに出ていた。
瞬時の判断を間違えると命取りになるため、仲間と問題点を話し合い判断をしなければならなかった。そうしなければ生存も繁殖さえも難しかったという。
つまり、男脳は獲物を探すため遠くを見つつ問題があれば即座に解決するため足元をじっくり見つめ共感することは苦手ということ。
一方で女は生まれた我が子を1年をかけて生育する。子どもの小さな変化にも目を配り、女同士助け合い共感し、何か事が起こった時にはお互いに語り合う。
このように真っ向から対立している男と女の脳は永遠にまじえることがないと。
それじゃ元も子もない。妻は夫を理解し、変えるにはどうしたらいいのか?
著書では第2章では男脳と女脳の違いと気の利く夫にする方法をアドバイスする。
3.第2章 使えない夫を「気の利く夫」に変える方法
第2章では「気が利く夫」に変える方法の一部をピックアップしてご紹介します。
1.夫が気か利かない本当の理由とは
妻の所作が網膜に入るが、風景のように見流しているのである。
夫が気か利かないのは、妻の所作をうまく認知できていないからだという。
例えば、妻がおむつ替えをしている風景を眺めていても、おしり拭きに手が届かないで困っていることに認知できないらしい。これを妻は「気が利かない夫」のレッテルを貼ってしまう。
キッチンから「ごはんができたわよ!」と叫んだら夫にはテーブルの上を片付けふきんで拭くことを察してもらいたいのが妻だが夫は動いてくれない。
こんな時は、はっきり「ごはんができたから、テーブルの上を片付けて拭いてちょうだい!」とはっきり、きっぱり言えばいいのだろう。
察して欲しい。気が利かないと嘆く前に「はっきりいわなきゃわからない」と妻は肝に銘じたほうがいいのかもしれない。
2.男脳は規則にすると守りやすい。
定番を忠実に守り続ける
妻の所作を察することが苦手な夫にも得意技がある。それが定番を守り続けること。
毎日会社に行き、自宅に帰ってくる。毎月給料を運んでくることも定番のひとつ。
何もしない夫でも定番にしていることがあるはず。ゴミの日には捨てに行ってくれる、脱いだ衣類は洗濯機に入れることも定番といえるのではないだろうか?
定番を守り続けるのが男脳なら、褒めて定番を作ってあげれば言わなくても、察してもらわなくても実行してくれるかもしれない。
3.共感という言葉を知らない。
女が共感で生きていることを知らない
共感がなければ生きていけない女脳だということを男は理解していないのだ。
戦いに勝つためには目の前の問題を可決することが先決の男脳にとって共感は二の次という。
では妻はどうしたらいいのだろうか?著者はこう言う。
「今から私が話すことは、共感かけしてくれればいい。問題解決は要らないから」
もし、私がこれを言ったら夫は「ふ~ん」で終わるだろう。でも定番になるように続ければ共感してくれる日がくるかもしれない。
4.結論がわからないことに耐えられない。
結論から言う、数字を言う
狩りをしながら進化してきた男脳はゴールがどこか探るのが得意。
一方で女脳はゴールに至るまでのプロセスからしゃべり始める。
よって夫は妻のダラダラと長い話のゴールがわからずストレスとなるという。
妻の不満のひとつに「夫が私の話を聞いていない!」は結論から先に言えば夫は振り向いて誠実に話を聞いてくれるのかもしれない。
5.皮肉ではなく確認ととらえよう。
夫のことばを裏読みしない
休日妻がひとり出かける時夫が投げかける言葉に「俺の昼飯は?」がある。
妻はこれを「俺をひとりにして出かけるのか?昼飯も作らずに!」と裏読みして結局は外出を取りやめてしまう妻もいるという。
夫の「俺の昼飯は?」は、「昼飯を用意してあるのか?自分で調達するのか?教えて欲しい」という意味合いらしい。
だから、出かける時に「俺の昼飯は?」と聞かれたら「冷凍ピラフをチンして食べてね。行ってきま~す」とさわやかにやり過ごせばいいと。
4.まとめ
私が夫に対してこれまでに「いちいち言わなきゃわかんないのかな?」「それって皮肉?」「○○で困ったのよ!えぇ!私の話を聞いてない?」と思ったことは数知れず。
老後を夫と2人で暮らしていくのに内心一抹の不安を覚えていたところ、同じ悩みをもつ友人から「夫のトリセツ」を薦めらたのが読んだきっかけでした。
読んでみると、わかりやすい文章と科学者らしいストレートな物言いにぐいぐい引き込まれアッという間に読み終わっていました。
嫌いじゃないけれど、気が利かない夫と平穏に暮らしていきたいと思っている人にとって「夫のトリセツ」は1つのヒントを与えてくれる本だと思います。