1.年金開始75歳法案、14日審議入りへ 「緊急事態」も先送りせず
2020年4月11日付朝日新聞によると以下のことを伝えました。
年金を受け取り始める年齢を75歳まで繰り下げ可能にするための年金改革関連法案が、14日の衆院本会議で審議入りすることになった。
現行の年金制度では、繰り下げ受給は70歳までとなっていますが、75歳まで繰り下げ受給を可能にする案を衆議院本会議で審議入りすることになったとのこと。
本紙にもありますが、厚生労働省の省内では今新型コロナ対策に追われている中、国会対応に割く人員を新型コロナ対策へ振り向けるべきとの意見があったにも関わらず当初の予定通りとなったらしい。
朝日新聞社
この時期にゴリ押ししてまで審議しなければならない背景はわからないけれど、国民の支持はえられないでしょうね。
2.75歳繰下げ受給を選択する人は増えるのか?
平成29年(2017年)3年前の厚生労働省のデータによると、繰上げ受給率は13.6%と若干下がっているものの、本来の受給率の方は0.9%のアップしています。
一方で繰下げ受給している人の割合(受給率)は1.3%でした。それまでは1.2%で推移していたところ0.1%のアップでした。
平成29年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
働き方改革で高齢者の雇用をすすめていますが、高齢者が働く場所が3Kといわれる職種に限定されていいる今、多様な受け皿など具体的な対策がない限り繰り下げ受給をするメリットを選ぶ人は少ないでしょう。
健康面からみると、厚生労働省発表の健康寿命は男性は72.14歳、女性は74.35歳。
平均寿命が延びるにともなって健康寿命もアップしています。
人生100年時代。30年後には平均寿命が100歳になると予想されています。女性の健康寿命の推移の割合から、仮に平均寿命が100歳の時の健康寿命は85.8歳になり75歳に繰下げ受給しても10年は健康に老後を過ごせることに。
ただ、現状では繰下げて受給を開始した時すでに体が思うように動けなくなっている可能性も考えられます。
とはいえ、繰下げ受給の割合が1.3%と低いことや高齢者の働き方を見直さない限り75歳まで繰下げ受給が可能になったとしても、それを選択するのは体の負担の少ない職種で健康におおいに自信のある人と限定されるでしょうね。