目次
1.国民年金の繰り上げ支給は60歳で最大30%の減額
老後のお金なんて心配ないわ!楽勝よ!と言うあなたは羨ましすぎです!
私もそうありたいけど現実的には、年金だけで暮らしていくには
非常に厳しい。厳しぎるんですよ。
それは、私だけじゃないことが厚生労働省の調査で分かっているんです。
その前に、年金をもらうには繰り上げ支給・本来の支給・繰り下げ支給の
3つの選択肢があります。
まずは、「繰り上げ支給について」
厚生労働省 老齢基礎年金の繰り上げ支給について
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kuriage-kurisage/20150313.html
国民年金をもらうには65歳になってからですが、年金が減額されますが
60歳からもらえます。
これが「繰り上げ支給」と呼ばれるものです。
上の表を参考に、年金が年額70万円もらえるとして計算してみました。
例)年金の受給額を700,000円(受給額+加給年金)とした場合
単位(円)
年齢 | 受給額 | 減額率 | 減額(年) | 差額(年) | 減額(月額) |
60 | 700,000 | 30% | 490,000 | 210,000 | 40,833 |
61 | 700,000 | 24% | 532,000 | 168,000 | 44,333 |
62 | 700,000 | 18% | 574,000 | 126,000 | 47,833 |
63 | 700,000 | 12% | 616,000 | 84,000 | 51,333 |
64 | 700,000 | 6% | 658,000 | 42,000 | 54,833 |
60歳で年金をもらうと年額210,000円もの減額になってしまいます。
年金の受給額を700,000円で60歳でもらうと月額40,000円だと
社会保険料や税金を支払ったらほとんど手元に残りませんよね。
2.国民年金の繰り下げ支給は70歳で最大で42%アップする
次に、「繰り下げ支給」についてです。
厚生労働省 老齢基礎年金の繰り下げ支給について
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-06.html
年金を66歳~と繰り上げてもらうと、年金の額が増額され
最大70歳でもらい始めると42%アップします。これを「繰り下げ支給」といいます。
上の表を参考に、年金が年額70万円もらえるとして計算してみました。
例)年金の受給額を700,000円(受給額+加給年金)とした場合
単位(円)
年齢 | 受給額 | 増額率 | 増額(年) | 差額(年) | 増額(月額) |
66 | 700,000 | 8.4% | 758,800 | 58,800 | 63,233 |
67 | 700,000 | 16.8% | 817,600 | 117,600 | 68,133 |
68 | 700,000 | 25.2% | 876,400 | 176,400 | 73,033 |
69 | 700,000 | 33.6% | 935,200 | 235,200 | 77,933 |
70 | 700,000 | 42% | 994,000 | 294,000 | 82,833 |
70歳まで年金をもらうのを引き延ばすと年額294,000円もお得になるんですよ!
初めてのことを知った時、70歳まで働き口があるなら、年金の繰り下げも
悪くないいんじゃない?と単純に思ってしまいました。
今時、70歳まで働くとなったら、よほどのスキルがあるか
時給の低い職種に限定されていますよ。
「繰り上げ支給」を選択できる人は、ある意味恵まれた人たちでしょう。
では、この「繰り上げ・繰り下げ受給」をしている人はどのくらいの
割合なのでしょうか?
3.繰り上げ・繰り下げ受給の割合
厚生労働省の繰り上げ・繰り下げ受給の割合のデータです。
平成23年~平成27年までの国民年金と厚生年金を合わせものですが
「年金の繰り下げ支給」を受けている人は、全体の1.4%しかいません。
意外と少ない印象です。
反対に「年金の繰り上げ支給」(年金を65歳前からもらうため年金が減額される)は
35.6%もの人がもらっています。
平成23年の41.7%から見ると35.6%と「年金の繰り上げ支給」をする人が
減ってはいるものの「年金の繰り下げ支給」をする人からみたらケタが違いますよね。
4.国民年金をもらう選択肢は3つ。繰り上げ・本来・繰り下げ
国民年金、厚生年金とも、年金の受給開始年齢を選択するには3つの方法があります。
繰り上げ(60歳から)、本来(65歳から)、繰り下げ(66歳から)の3つ。
本来(65歳から)を選択する人は63.1%と最も多く
繰り上げてもらう人も35.6%もいました。
考えられる理由
経済的に苦しい
寿命がわからないから早くからもらいたい。
資産があるから、早くからもらってお小遣いにしたい。
などでしょうか。
一方で、繰り下げでもらう人はたった1.4%。
考えられる理由
65歳以降も働けるなど収入源がある
年金をもらわなくても十分な資産がある。
などでしょうか。
5.あなたは、何歳ごろまで仕事をしたいですか。
総務省では、何歳ごろまで仕事をしたいか?というデータがあります。
総務省の「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」結果(概要)
平成25年と古いデータですが、平成20年度、平成25年度も
「働けるうちはいつまでも」の割合が大きいです。
年代によってはどうでしょうか?
①の総数では29.5%もの人が「働けるうちはいつまでも」に回答。
②の80代以上でも37.3%もの人が「働けるうちはいつまでも」と答えています。
考えられる理由
定年のない仕事(自営業、農業など)をしている。
家でゴロゴロしているよりも、働くことで少しでも稼げる。
体を動かすことは健康にいいから。
私はこの「あなたは、何歳ごろまで仕事をしたいですか?」質問に対して
「何歳だろうが、仕事をしなければ生活していけない!」って人も
含まれているんじゃないでしょうか?
生活できないから仕方なく仕事をしている人が
「働けるうちはいつまでもに答えている」と考えるのが妥当でしょうね。
6.まとめ
国は年金の受給開始年齢を70歳にすることを検討中です。
また、受給開始年齢を70歳にするためには、雇用をどう生み出すかも
話し合われています。
しかし、現在は、65歳から満額支給であっても35.6%もの人が繰り上げ支給をしている
ことから老後の生活が苦しいのは確かなのです。
今後、年金の受給額が減らされ、社会保険料や税金がアップすることを
考えれます。働けるうちは、働かなければ生きていけない。
老後が悠々自適な時代はとっくに終わっていて
食べるために働く老後が待っていると思っていいでしょう。
人の寿命も健康も予測することはできません。
いずれ働きたくても働けない時が来ます。
その時のために、50代の私たちがやるべきことは2つ。
貯蓄に励むこと。
65歳以降の収入源を考えておく。
なお、年金の繰り上げ支給を受給するには、年金額が少なくなるだけじゃなく
その他にもデメリットがあるので、受給前に夫婦で話し合っておくことが大切です。
参考)日本年金機構 「年金の繰上げ・繰下げ受給」
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kuriage-kurisage/index.html
20年前から少子高齢化がが叫ばれているのに、ゆる~い対策しかしてこなかった政府。
議員になるための票集め政策の「高齢者対策」。
税金と保険料を払っても、生活が苦しい老後が待っているってどうなの?
不満を言ったらキリがないけれど、自分の身は自分で守るしかないです。