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1.「老前破産」~年金支給70歳時代のお金サバイバル~ 荻原博子著
フリーの経済ジャーナリストでお金に関する知恵や情報をメディアで積極的発言し多くの著書を書いている荻原博子氏の「老前破産」~年金支給70歳時代のお金サバイバル~についてご紹介します。
この本では40代~50代の家計が危ない!と警鐘を鳴らしています。
それは、日本弁護士連合会によると「自己破産」が最も多いのは40代と50代で全体の半分占めていて、その理由で最も多いのは「生活苦・低所得」で60.24%にものぼるという結果が出ているからです。
では、なぜ40代50代が破産に追い込まれていくのでしょうか?
著書では、破産になる原因として「住宅ローン」「教育費」「カードローン」「家族のトラブル」をあげ、破産にいたる背景と対処方法をわかりやすく説明しています。
ここでは「第4章気が付けば借金まみれ-カードローンで老前破産」についてご紹介します。
2.50代を「老前破産」に追い込むカードローン
40代~50代は今最も厳しい時代の最先端を走っている世代です。
なぜなら住宅ローンと子どもの教育費が家計に重くのしかかっているうえに、給与はさほど上がらず、税金、社会保険料はうなぎのぼりで手元に残るお金で生活するのが苦しくなっているからです。
さらに、最近では大企業が決算が黒字にもかかわらず、40代以上がリストラのターゲットにしています。
ニュースを聞くたびに、自分のことのように暗い気持ちになった人もいるのではないでしょうか。
野村総合研究所のカードローンアンケート(2014年)をみると
40代、50代の働き盛りは借入額が多いのが特徴で、100~300万円未満という一歩間違えば返済不能になりそう額を借りている人がそれぞれ5%~6%もいます。
100万円~300万円は大金ですが、それでも家計に余裕があればなんとかなる金額。
それすらもカードローンに頼らなければならいのは、いったいなぜなのでしょう。
金融機関の内部の人に取材すると
生活費が足りなくなり、ついカードローンに手を出して、多重債務に陥り、最終的に自己破産に追い込まれてるというケースが多いようです。
余裕のない家計の場合、思いもよらないこと(リストラ、病気、離婚)でいっきに身動きが取れなくなるものです。
50代は住宅ローンと教育費のダブルの出費が家計を圧迫する世代。生活費のちょっと足しに、すぐに返せるんだからと、ついつい借りているうちに雪だるま式に増え返済不能な額になっているようです。
我が家も30年前、とてもお金に困った時がありました。当時散歩がてらに寄ったディーラーで気になる車を見つけ、ディーラーお得意の営業トークにのって現金で新車を購入してしまったのです。それからは新車に乗れることが嬉しくて買い物や夫の送り迎えに毎日運転していました。
ところが、思いもよらぬことが起こったのです。
夫の転勤(引越し代は会社が負担してくれるが持ち出しも多い)です。さらに私の妊娠、夫の病気、友人と親族の結婚と出費が重なっていきました。
新車を買ったせいで貯蓄はほとんどなく、働きたくても妊娠中の私は働くこともできず、消費者金融にお金を借りに行こうかとどれほど悩んだことか。
今思うと、一歩間違えば私も破産に追い込まれたかもしれませんでした。でもそうはならなかった。
それは若い時から「借金はするな!今あるお金でやり繰りしなさい」と親から刷り込まれた言葉が頭から離れなかったからなんです。
その後は、夫の協力もあり家計の見直しやお互いに貯蓄に励むことを第一に「欲しいもの」より「必要なもの」を優先してお金を使うようになりました。あの苦い経験があったからこそと今は思っています。
家計を預かる主婦は、生活費の不足を自分のせいだと思い込んでしまう人もいるのではないでしょうか。実際そうかもしれません。たとえそうだとしても、解決策をカードローンに求めるのではなく、洗いざらい夫に話して一緒に考えていくことが破産を避ける一歩だと私は思います。
3.国内銀行のカードローンの貸付残高が伸び続けている
銀行のカードローンのコマーシャルを最近よくテレビで観るようになったと思いませんか?
実は今銀行のカードローンの貸付残高が伸び続けているんです。
銀行は消費者金融よりクリーンなイメージがありますし、キャッシュカードにはカードローンも使え便利です。またネットからも簡単に申し込みでき、1時間もあれば審査が通るといわれています。
では、なぜ銀行がイメージの悪い消費者金融が扱っていたカードローンに手を出したのでしょうか。
簡単にいうと、日銀のゼロ金利政策で利益を出せなくなった銀行が、儲けのでるカードローンに目を付けたといったところでしょう。
昔「サラ金地獄」が社会問題になったことがあったことご存知でしょうか。多重債務で破綻した人が続出しました。これを受けて金融庁は貸金業法を改定して規制をおこないました。
これによって、武富士は倒産し、アコムやプロミスは大手銀行の傘下に入ったんです。大手銀行が消費者金融を傘下に入れたのは、カードローンで利益を上げるために消費者金融同士が共有している信用情報機関のシステムがどうしても必要だったからです。
著者は
親にゆとりがあって、なおかつどうにもならなくなったら、双方の親にお金を借りることも考えてみましょう。
高い金利を銀行払うより親に借りた方が話し合いによっては低金利もしくは金利なしで済むかもしれないし、身内から借りる恥ずかしさから二度と借金はしないぞ!と自制心が出てくるかもしれません。
4.老前破産になる前にすること
著書では、借金で身をほろぼす前にすることを提案しています。
自分の家庭の現状を認識すること。
その上で「資産の棚卸し」をし、家計のダウンサイジングをすること。
できれば収入を増やすこと。
妻がひとりで「資産の棚卸し」や「家計のダウンサイジング」と何もかもを抱え込んでは解決するのは難しいです。
ここは夫妻で家計の共有をして、いかに借金をしないで済むかを考えることが大切だと思います。
なぜ夫婦なのかというと、片方だけが頑張っていても、もう片方が無頓着にお金を使っていると必ず不満が爆発するからです。
ご主人は数字に強かったり、仕事がら表計算ソフトのExcelが得意だったりしませんか?
ダウンサイジングや資産の棚卸しに巻き込んで得意分野で力を発揮してもらいましょう。お金の共有ができると、たとえ不測の事態が起きても二人で解決できる道を一緒に探せるので心強いはずです。
5.まとめ
数年前は「老後破産」が問題になり多くのメディアで取り上げられていましたが、老後の心配どころかその前破綻する家庭が増えていることをこの本で知りました。
今回ご紹介した「第4章気が付けば借金まみれ-カードローンで老後破産」はカードローンの実態と背景をわかりやすく解説してくれていますので一読の価値はあると思います。