1.高齢の親になぜエンディングノートが必要なのか?
そもそもエンディングノートって何?知らないって人も多いんじゃないでしょうか。
エンディングノートとは、簡単に言うと「自分のエンディング(最期)について、
自分の希望を書き留めておくノート」のことです。
エンディングノートには、資産、介護、葬儀、お墓など自分の希望や
これまでの自分の歴史などを記入して、残された人がいざという時に
困らないためのものでもあるのです。
50代ならゆくっり考えながら書く時間がありますが、70代や80代の高齢の親は
すでに人生のエンディングを迎える時期に差し掛かっていて
明日どうなるかもわからない年代です。
例えば、介護が必要になった時、介護費用は用意してあるのか?
介護は自宅で家族を望んでいるのか?それとも施設に入っていもいいのか?
ある日突然亡くなった時、臓器提供はどうするのか?葬儀は家族葬なのか?
遺影や戒名、葬儀費用はどれくらいの金額でするのか?など
エンディングノートを書いてもらうことで、私たち子どもが迷わず
ことを進めることができるのです。
2.高齢の親がエンディングノートを書けない!ワケを理解する
今回久しぶりに帰省した際に、両親にエンディングノートを書いてもらおうと持参しました。
夫の両親は、60代で自分たちの遺影、位牌、お墓を用意しており
介護や葬儀についても子どもである夫や夫の兄弟に希望を伝えていたようです。
私は知らなかったけれど。
なら、私の両親もエンディングについて考えてるんじゃないだろうか。
詳しく書いてもらおうと思っていたのです。
両親に「介護や葬儀ついて用意していることや希望とかある?」と聞いたところ
母は「そうねぇ。希望はあるけれど具体的には何にもしていないわ」
父は「死んだ後のことは考えていない!」と。
やっぱり!そうか!思った通りでした。
父は書こうという気持ちはないと判断。
母ならOKかも?
そこで私は持参したエンディングノートを見せて実際に母に書いてもらおうと
書き方を説明したら母は「時間があるときに書いておくから」と。
私は「えぇ!時間があるときって、今あるじゃん!今書こうよ!」
母は「書きたい気分じゃないの!」の一点張り。
引き出し入れて、仕舞ってしまいました。
私はひとりっ子なので、両親のことを知らないと困るのは私!
そんな焦りから強い口調で言ってしまったことがいけなかったのか?
と反省していたところ、実は違ったのです。
数日後、何気ない会話から母が漏らした一言に
「私もお父さんもこの頃少し手が震えてきて字を書くのが億劫になってきてね。
長い時間ペンをお持つのも大変なの」と。
母の言葉で私は、80代を超える両親の身体は老化が進んでいることに
恥ずかしながら、はじめて気づきました。
エンディングノートを書けない理由は
手の震えによる身体的理由だったのです。
誰でも自分の老いを認めたくありませんよね。
それは80代の両親であっても同じで、手の震えや老いを私にさらけ出したく
なかったのかもしれません。
3.高齢の親にエンディングノートが書けないなら子どもが聞き取りを
両親が書けないのなら、私が書くしか方法がありません。
そこで、両親の希望を聞きながら私が書くことにしました。
さしあたり必要なこととして
1.お金や不動産の通帳や登記簿謄本がどこに保管しているか?
2.亡くなった後の臓器提供、葬儀、お墓をどうするか?
3.介護は、施設に入ることも可能か?
4.かかりつけ医(歯科医院も)の病院名と電話番号
5.親戚や隣近所の名前と電話番号
などを聞いて私がエンディングノートに書き記しておきました。
本当は、もっと詳しく聞きたかったけれど、これがどうして進まないんですよ。
話の合間に親類の葬儀での出来事やら、相続でもめたことなど
昔あったことをチョイチョイ挟んでくるので、2時間以上もかかったのです。
お互いに疲れてしまったので、次回に先送りすることにしました。
親といえども本音を聞き出すには、話しやすい雰囲気づくりや時間のムダと思える
昔話も聞きながら書くこというのは、子どもの根気が必要だということも改めて感じました。
エンディングノートは、1日で書ききってしまうものではなく
書けるところから、少しづつが基本です。
しかし、高齢の親には時間がないからと焦ってみても
お互いに疲れるだけであること。
さしあたり知っておいた方がのちのち困らないことを
書き留めておくこと。
この2つが大事だなと思いました。
4.まとめ
50代の私でもエンディングノートを書くには、あれこれ考えたり
調べたりしながら書くので時間がかかります。
まして高齢の親にエンディングノート1冊をポンと渡しても
「はいそうですか。それじゃ書きましょう」と簡単にはいきません。
帰省した際に、エンディングノートを高齢の親に書いてもらうことで学んだことは2つ。
身体の老化で書くことができない。死んだ後のことを考えたくない。
などを理解すること。
尋問風にならないよう、耳タコになっている昔の話も聞きながら
エンディングノートに書くこと。
帰宅してからエンディングノートの件を娘たちに話したところ長女から
「おばあちゃんは前に、お墓は永代供養してくれるお寺を探していて、
お葬式は家族葬を考えているって言っていたよ」と。
娘の私にはすぐに口を開いてくれなくても、孫にはすでに話していたんです。
親子という近い間柄よりも、ちょっと離れた存在の方が話やすいこともあるでしょう。
孫や兄弟から情報を得ることも一つの方法かもしれません。