1.「50代からの人間関係」の著者水島広子氏のプロフィール
水島広子氏は慶応義塾大学医学部を卒業した精神科医。対人関係療法の第一人者として知られ、過去に衆議院議員として「児童虐待防止法」の改正に尽力した人です。
数ある著書の中で2014年発行の「女子の人間関係」は今なお悩める女性たちにとって救いの書となっています。
著書では女性が持つ特有の悩みに精神科医の目からアドバイスをしています。
2.親との付き合いに悩む時の対処方法とは
本書は第1章から第4章の構成になっていて、夫婦、親、こども、きょうだいに対してそれぞれの悩みについて解決するコツを紹介しています。
50代の女性の悩みにはこんなことありませんか?
夫が定年を迎えた後の夫婦2人だけの生活が不安だ。
自分の親のことが心配であれこれ言ったら激怒された。
仲が良かったママ友と最近なぜかギクシャクしてきた。
など、女性の50代はさまざまな人間関係に悩む世代です。
夫、親、友人とお互いに年齢を重ね、潜んでいた価値観の違いが露出し、心のモヤモヤが治まらない女性が多いのではないでしょうか。
私は自分の親とのとどのようにつき合えばよいのか悩んできました。
肉親である親だから話し合えばきっとわかり合えるはずと思っていいましたが、話せば話すほど両親は頑固になり、聞く耳さえ持たなくなっていく。いったい私はどうしたらいいのか?
著書では
人が年を重ねるにつれ頑固になるのは
「喪失の否認」と「経験の過信」がテーマである場合が多いです。
「喪失の否認」とは年をとるにつれて様々な機能を失っていくことを認めたくないために否認するということ。
例えば
「体力がないんだから、ゆっくりあるいたら!」と助言したつもりでも親は「まだまだ大丈夫!若い者には負けないくらい歩けるよ!」と。
親自身は体力がなくなってきていることを十分承知しているけれど認めたくないんですよね。
「経験の過信」とは親は長く生きてくればそれだけの経験と知恵を持っている自負のこと。
私もよく「瑠璃子はまだ経験していないからわからないんだ!」「今まで大丈夫だったからいいの!」と親にいわれて何度カチンときたことか。
著者は
親を完全にコントロールすることはできない、という事実を受け入れることも大切だと思います。
「説得して相手を変えよう」という目標設定を、「まずはきっかけづくり」に修正する必要があるかもしれません。
親には「老いては子に従え」を実践してほしいのが子どもの気持ちだけれど、肉親とはいえ親の心を完全にコントロールできないこと。
「もう年なんだから」「高齢者なんだから」の枕詞は使わず、「〇〇は××らしいよ。お互いに気を付けたいね」と対等な大人としての会話が必要なのだと。
私自身振り返れば、親に放つことばの数々は上から目線で命令口調であったかもしれない。それは老いていく両親を心配しての言葉数だったけれど、それがかえって頑固にさせていたのだということを気づかせてくれました。
50代になると人間関係が複雑にからみあい難しくなった人間関係を、ひも解くコツを知っているのと知らないでいるのではその後の人生の質が変わってくるのではないでしょうか。
そばに置いて悩んだ時にそっと読み返してヒントをもらい心を落ち着ける。ある意味「50代からの人間関係」はこれからの人生を幸せに生きていくため指南書です。
設定は50代の女性になっていますが、結婚している女性ならすべての年代に共通している部分(姑との付き合い方他)もあるので嫁いだ娘に薦めてみようと思っています。